
高福寺鐘楼門実測調査・耐震調査プロジェクト
K寺 / 2023
高福寺鐘楼門は明治21年に楼門として建立され、昭和34年に鐘楼門へ改築されました。3.11東日本大震災時、鐘楼門は激しく揺れ、鐘がゴ~ンゴ~ンと鳴り響きました。水原御住職様、奥様には鐘楼門の安全性に不安を覚えるとかねてより相談がありましたので、この度の耐震調査となりました。東京電機大学未来科学部建築学科 朝川剛准教授、松永英伸講師、河原大助教、建築学専攻大学院生、学生さん他の調査及び振動実験でのデータを基に解析が行われました。今後はさらに詳細な設定を行い、東南海地震では3.11東日本大震災と同程度の揺れが予想されることから、より実態に近い解析モデルを構築し、お寺・檀家の皆様と共有していきます。
「鐘楼山門の耐震・制振性能解析のための建物固有振動解析」
調査目的:3・11東日本大震災時における、当高福寺の地面が横に波打ち、鐘楼山門はぐらぐら振動し、鐘は鳴り放されっぱなしであった実経験をふまえて、予てよりの心配を見える化(動的な客観化)する。
調査・報告者:東京電機大学未来科学部建築学科
朝川剛准教授 松永英伸講師 河原大助教
建築学専攻大学院生他
協力:株式会社ケービーケー久保田一級建築士事務所

高福寺鐘楼門は、上棟時の棟札によると、明治21年6月に「楼門」として建立され、その後昭和34年12月に「鐘楼門」(一間楼門)として改築されたと思われます。門と鐘楼が合体した鐘楼門は、全国的に400基弱が確認されていますが、江戸時代後期に多く建造されました。お寺の鐘は時報の役割を担っていたことは間違いありませんが、公共施設がない時代、同時に村のコミュニティーの場でもありました。この鐘楼を後世に受け継いでいくことは、論を俟ちません。

高福寺鐘楼パース
高福寺鐘楼門「明治21年6月に上棟されたが、鐘のない単純な楼門だったと考えられる。その後、昭和34年12月(改築上棟)に改築されて、鐘楼門となった。屋根を支える柱上部には“一手先”の枓栱があり、その上に格天井を構成する土居桁が載る。土居桁の上では井桁に組まれた小屋組みが、八方向の桔木および隅木を支える。桔木の先は、垂木を貫通した棒鋼によって2段の垂木を引っ張り上げ、桔木の根元に屋根荷重がかかることによって、バランスを保つ。調査では、東側の二本の桔木が下方向にずれているのが発見された。現在、根元の“ほぞ”が、かろうじて心木の“ほぞ穴”に掛かっている。これは、東日本大震災時の揺れによる影響だと考えられ、早急に対策が必要だと思われる。」
報告書・パース共 東京電機大学未来科学部建築学科 朝川研究室・一般社団法人TDU建築設計事務所


檀家に向けての調査報告会
報告概要。調査を基に鐘楼の各部重量を精算し、柱-梁・柱-貫の接合部性能を考慮した3Dフレームモデルに、現地近くの東日本大震災時の地震波を用いて動的解析を行い、地震時の挙動をシミュレーションした。横架材端部は雇い材により柱と繋がっておりホゾ差や貫のようなこじり抵抗が小さいと判断し回転バネを算出した。ただしその仮定で導出される回転バネの剛性が非常に小さいこと(モデルA)から、大きい性能を見込んだモデル(モデルB)も作成した。現地の観測地震波を使った動的解析ではモデルAが倒壊する結果となり、モデルBが2011年東日本大震災時の観測挙動を捉えた挙動となったが、実際にはモデルAとモデルBの中間程度の耐震性能を有していると考えられる。今後は接合部の回転バネの算出方法を見直し、柱の屋根・鐘重量による傾斜復元力特性等も考慮し、固有周期を検証対象としながら、より実物に近い解析モデルを構築する。
報告書 東京電機大学未来科学部建築学科 朝川研究室・一般社団法人TDU建築設計事務所